カウンタ―テノール&バロック&映画『カストラート』ファン必聴・必見
【9/9&10 バイロイト・バロック祭から配信】
本日9月9&10日(1部と2部に別れる)、ドイツ、バイロイト・バロック祭にて、バロックオペラの代表者的作曲家であった二コラ・ポルポラのオペラ『Carlo Il Calvo』がFBで無料生配信されます。
私の大好きなカウンターテノールのフランコ・ファリオリ(写真メインはフランコ君)と、カウンターテノールの王&ウィーン少年合唱団出身のMAX EMANUEL CENCIC(今はおじさん&本フェスティバルのダイレクター)が主役。
ポルポラの曲は、映画『カストラート』でも紹介されています。
映画『カストラート』は、バロック時代のスーパースターの去勢歌手(カストラート)ファルネリのお話です。
作曲家のポルポラは、カストラートを訓練する先生でもあったらしく、ファルネリも彼について学んでいたそうです。
因みにハイドンも、ドイツに渡ったポルポラに学んだそうです。
配信されるオペラ『Carlo is calvo』は2日に渡って配信されます。
字幕は残念ながらドイツ語のみ。
荒筋は、中世のヨーロッパが舞台。
設定は、皇帝亡き後の後継を巡っての争い。長男であるロッタリオは、皇帝健在中、次期王になる予定だったけれど、皇帝は死ぬ間際に、腹違いの弟(未だ子供)にカルロを指名。
ロッタリオ激怒で策略を練る…
この状況からオペラが始まります。
ロッタリオとカルロの母ジュディッタは、それぞれ権力を手に入れようと策略を練りながらも和解したフリ。
ロッタリオの息子のアダルジーゾ(フランコ君)は、ジュディエッタの最初の結婚の娘、ジルディッペと恋仲であり、双方家族の和解の為に結婚も予定されていたけれど、ロッタリオがカルロを誘拐し、婚約もオジャンに。
まあ、結局アダルジーゾが父の酷さに呆れて、カルロを助けるんだけど😅
ドラマのようで、何故かコメディっぽいこのお話。
ジュディッタは、同じ権力を願う母でも、ローマ皇帝ネロのママのアグリッピーナみたいに怖くないし😅
演出もコメディっぽく、モダン。
中世からアップデートされ、モダンなマフィアファミリーのような設定。
でも
男性シンガーは、多分全員カウンターテノールかも😲
この辺が、マフィアじゃないよねー😅😅
*荒筋はパンフレットの抜粋したものがあります。希望の方はお問い合わせください。
カストラートについて:
バロックオペラの時代は、ボーイソプラノで才能のある少年を声変わりの前に去勢して、少年の高音を保ちつつ、男性らしい強い低い声も出せた、カストラートがスターの時代でした。多くのバロックオペラは、カストラートたちを主役に作曲されましたのです。一番有名なカストラートは、ファリネリFarinelli。
彼の人生は、映画『カストラート」で知られています。勿論、カストラートは、19世紀中頃に禁止されたので、もう存在しません。主要オペラハウスでよく上演されるヘンデルのオペラなどは、カストラートが主役のものが多いですね。
現在は、カストラートによって歌われた役は、男装のメゾがズボン役として歌う場合が多いです。が、ラッキーなキャストだと、素晴らしいカウンターテノールがその役を歌う場合もあります。やっぱりメゾだと、低音がなかなか難しい。
ヒーロー(大抵主役は英雄)のたくましい声では、ないんですよね、低音が。
でも素晴らしい、人もたまーにいます。(チェチリア・バルトリやマリリン・ホーン)。
私は、基本、メゾが歌うよりもカウンタ―テノールが歌う方が好みです。
カウンタ―テノールにも、種類があって、ソプラノに近いカウンタ―テノール、メゾに近いカウンタ―テノールがあります。
ファルセット(裏声)で歌われる高音から低音に移動する際の技術(これはどのパートを歌うシンガーでも気になる重要ポイント)と低音の充実がやっぱりが魅力ですよねー。
この点フランコ君は驚異なほどの高音と技巧と息の長さ、そしてたくましい英雄的低音、、、これをすべてひっくるめたのが、カストラートだったんだと思いますが(笑)
マメ知識:
このオペラは、オリジナル(初演)はローマでした。
でキャストは全員女性。
歌舞伎と一緒。
当時のローマの舞台は教皇の法律により、女性は舞台に上がることを許されなかったんですね。
今回は女性役は、ソプラノが歌いますが。
男性シンガーの女形オペラも、私たち日本人には、何の違和感もないかもねー。
キャスト
Nicola Antonio Porpora: “Carlo il Calvo”
Franco Fagioli – Adalgiso
Max Emanuel Cenčić – Lottario
Julia Lezhneva – Gildippe
Petr Nekoranec – Asprando
Suzanne Jerosme – Giuditta
Bruno de Sa – Berardo
Nian Wang – Eduige
Armonia Atenea
Leitung: George Petrou
Markgräflichen Opernhaus Bayreuth,
あまりにマイナーなオペラなので、カウンタ―テノールにはまっている人しか興味いかもですね。
でもキャストは、最高です。
カウンタ―テノールのほかに、ロシアの若手天才ソプラノと言われ、日本でも人気のユリア・レージネヴァも登場します。
アメリカでは、なかなか観れないキャストです。あーうらやましい。
まあ、前置きはさて、是非聴いてみてください。
配信時間、各日ドイツ時間20:30PM(NY時間14時30分、テキサス13時30分)FBのBayreuth Baroqueのページにて