今週末は、ガーシュイン
メットオペラの今週末の無料配信は、ジョージ・ガーシュインの『ポギーとベス』
ポギーとベスってミュージカルでしょ?
って質問が来そうですが、
オペラです。
元祖がオペラ
で、ずーっと後にミュージカル化されました。
えーでも「サマータイム」ってジャズのスタンダードでしょー?
いえいえ、オペラからミュージカルに編集された後に、独立して歌われるようになったんです。
「サマータイム」って、子守歌なんですよ。
1幕目、チャールストンの蒸し暑い金曜日の夜に、男たちがゲーム(賭博)で集まる騒音の中、若いお母さんのクララが、赤ちゃんを癒すために歌う子守歌。
この瞬間に、私たちはチャールストンのキャツフィッシュロー(スラム街のアパート)にトランスファーしちゃうんです。
色んなポップやシールシンガーが歌う「アイラブユーポギー」も。
このオペラからです。
ガーシュインは、このオペラを「フォークオペラ」と呼んでたんです。
フォークって言っても、ギターをボロローンと弾くような日本のフォークミュージックじゃないです(笑)
ガーシュインの言う「フォークミュージック」とは….
- ハーレム(nyの)音楽
- ジャズ
- 黒人霊歌
- ラグタイム
- ブルース
- 南部山岳音楽
- カントリーブルーグラス
- カウボーイ
上記の音楽を合わせて
フォークミュージック(American Idiom)
「これこそアメリカーナだ!」とガーシュインは言ってたそうです。
確かにオペラ作品中の数多くの名曲には、これらの音楽の特徴がはっきりわかります。
あーそうだ!なんて思いながら聴くのも楽しい^_^
でもこの作品、モダンオペラですよね。
1934年ー5年だもの、作曲されたの。
ガーシュインはベルグの大ファンでもあったんですよね。
メロディアス(アメリカーナ)と破壊的?不協和音(モダン)が交わるこのオペラ。
「サマータイム」や「I Got Plenty O’ Nuttin’」などの有名曲ばかりにスポットライトが当たり気味ですが、オーケスレーションも注意して聴いてみてください。
雑学:ポギーについて
ポギーは実在の男性をモデルにしたキャラクターです。
足が不自由で、山羊車に乗って移動していたチャールストンのスラム街に住んでいた、Samuel”goat” Smalls という男性がポギーのモデル。
でもこのサミュエルさん、ポギーみたいに良い人でなく、どーしよーもない悪者だったらしいです。
女性好きで、女性に暴力もふるったり…
ロクでもない人だったけど、今はこのオペラのおかげで、彼のお墓もちゃんとできて、観光の一部になっているとか😅
ガーシュイン財団がしっかり監視(管理とも言う😅)しているこの作品、上演の条件が凄くて、上演機会の少ないオペラです。
上演条件の一つは、キャストは全員(台詞のみの数人を除いて)黒人でなければ、いけません。
という事は、コーラスも。
だから、普段のメットオペラのコーラスメンバーはお休み。
この為にあらたにオーディションをしなければなりません。
これって、日本とかヨーロッパでも難しいですよねー。
キャストについて
キャストは最高か?と言われると、ちょっと微妙感もあります。
先に書いたように、全員黒人のシンガーでなければいけないキャスト。
でメインキャストも、それぞれソロが多い。という事は、やっぱりしっかり実力のあるシンガーが必要。
オマケに、演技力も本当に大切なオペラです。
皆なかなか素晴らしかったけど、イマイチも。
カルメン歌いで大人気だった米人メゾのデニス・グレーブが住人の肝っ玉母さん的なマリアだったけど…声が全然出てない…😢
主役ポギー役のエリック・オーウェンも、「この役は自分には(音域が)高い。」ってインタビューでも言っちゃう程、確かにいつもワーグナーで聴かせてくれる彼のドーンくる低音の声の魅力は生かされてない。
けど、見た目、キャラ、納得できちゃう。
ベスのエンジェル・ブルーは、悪くなれないベスで、でも最後に誘惑に負けちゃう主人公を素晴らしく演じて歌ってると思いました。
スポーティンライフ役のバレンタインは、映画のサミーデイビスジュニアに比べると、すごーい怖いです。ヌルヌル近寄ってくる蛇みたい。
でもこの役の歌、大好き―(笑)
まだまだ細く書きたいけど…
先ずは観てください^_^
で、感想を教えてくださいね。
下記のリンクから、お見逃しなく!
https://metoperafree.brightcove.services/?videoId=6184125499001