勝手な父親オペラ『ワルキューレ』

メトロポリタンオペラは、6月20日の父の日を前に、本日14日月曜日から、父親がメインのオペラを無料配信します。

今回のラインアップは、基本良いお父さんのお話が中心です。が….例外も。

自分の私利私欲の為に、長期計画で、勝手な行動をするお父さんのオペラを紹介しますね。

しかも、そのお父さん、神様(-_-;)

その作品は、『ニーベンベルグの指輪』シリーズの中の第2夜の『ワルキューレ』。お父さん、勝手極まりない😅

4話による大作中、一番知名度の高い音楽『ワルキューレ』

ワルキューレの音楽は、だれでも知ってます。

いや、知らない!と思っても知ってるんです(笑)

古いところだと映画「地獄の黙示録」で使われ、子供用だと、バックスバニーの「Kill the rabbit~♬」と歌われます。

この音楽は、聴いたことがあるでしょう?

ワルキューレの騎行(こちらの動画は、2012年から)

以下、荒筋です。いかに神様とはいえ、父親として勝手か、ご判断ください(笑)

ワルキューレあらすじ


前置き: 
神々の長のヴォータンは、天上の超豪華神殿ヴァルハラ建設、に双子の巨人を雇った。
地火の神ローゲから、地下に住むニーベルング族の黄金について知り、「黄金を騙し取って、それで支払う」為に地下へ向かう。
ニルンベルグ族のアルベリッヒを騙し、黄金と、ラインの黄金で作られた、全てを制覇できる力を持つ指輪と、何にでも化けられる魔法の兜もget
巨人には黄金だけで支払おうとするが、指輪も取り上げられちゃったヴォータンは、何とか指輪奪回を考えつつ…

ここまでが、第1夜『ラインゴールド』の超簡単なヴォータンの紹介。

地上:

モラハラな夫フンディングとジークリンデ夫妻の元に、さまよって現れた“暗いイケメン”のジークムント。
ジークリンデとジークムントは何故か惹かれ合う。

帰宅したフンディングは、ジークムントが自分の妻そっくりなので驚くが、(ここだけ読むとコメディかと錯覚する😅)次第にジークムントがは敵と気付き、今夜は客人として迎えるが、翌日は戦いだ!言う。

ジークリンデは、夫に眠り薬を盛り、ジークムントを逃そうと勧める。

お互いに生い立ちを話す内に、実は自分たち達は双子だと悟り、と同時に愛も目覚める。
(なんでやねんと思うよね😅)

ジークリンデは、トネリコの木に刺さった刀を指し、ある夜不思議な男が置いていった事、過去に誰もこの刀を抜けない事を語る。
(実は不思議な男は、ヴォータン=双子の父で神々の長)

で勿論ジークムントは、刀を抜いちゃやって、ジークリンデと共に愛を確認し、逃げる。

天上の世界では…

ブリュンヒルデは、ヴォータンの娘の一人で、ワルキューレの一員。おまけに、ヴォータンのお気に入り。

*ワルキューレ:
全員女性で全員ヴォータンの腹違いの娘。地上での優秀な戦士の亡骸を、ヴァルハラ(ヴォータンの傲慢のシンボルうでもある天上の神殿。巨人を騙して建てさせた)に運ぶのが仕事。
どこかで聞いたことのある話でしょ(笑)

ヴォータンは、ブリュンヒルデに ジークムントとフンディングの戦いで、ジークムントを勝たせるんだぞー、守るよんだぞー、と盛り上がりながら命じる。(腹違いの姉弟だしね(;^_^A)

喜んで承諾するブリュンヒルデが去ると、ヴォータンの本妻のフリッカが、不倫+近親相姦に加担したとヴォータンに激怒。

ヴォータンが、指輪奪回のスキームで、地上で人間に双子を産ませたこと、息子に戦い方を教えたこと、そしてジークムントが刀(勇者しか使えない刀ノートング)を見つけるように導いたこと、など全てお膳立てしたのを、奥さんに見透かされて、もうタジタジ。

とどめは、「貴方は”契約”の神よね」と押され、ぐうの音も出ない。

奥さん怖いし、肩書あるしで、仕方なく、ブュンヒルデに、命令を取り消す。そして、ジークムントを負けさせ、亡骸をヴァルハラに運ぶように命じるが、ブリュンヒルデは、「なんでいきなり変わるの??」と納得できない。

(自分の都合で、意見を変える親は嫌よねー(笑))

本妻は全て見抜いてます!神も人間一緒?😅
フリッカとヴォータン
フリッカは、アメリカ人メゾのジャーミー・バートンは、この役ちょっと未だ早いんじゃ?と思いました。彼女はベルカントも歌うんです。そちらの方が好き。

また地上に戻り…

ブリュンヒルデは、ジークムントとジークリンデの愛に感動 &ジークリンデが妊娠している(早っ!)と知ると、ジークムントを勝たせようと決める。ところが、戦いにヴォータンが現れ、ジークムントの刀は折れ、彼は負け死ぬ。

ヴォータンに刀を折られたジークムントは、フンディングの一撃に倒れる😢 フンディングのギュンター・グロイスベックのカッコいいいことったら(笑)。モラハラは嫌だけど、スケルトンさんよりも、グンター選ぶわ♡

ブリュンヒルデは、せめてジークリンデを助けようと逃げて、姉妹に助けを請う。

そして、ジークムントを追って死にたがるジークリンデに生きる希望(あなたにはジークムントの子供がいる。男の子で、勇者しなると伝える)を与え、逃げるように指示する。子供が生まれたら、ジークフリートと名付けるように言う。

遠くには、すごい勢いで、怒り狂ったパパヴォータンが追っかけてきて、捕まえられる。

ブリュンヒルデへの、お父さん/神々の長に従わなかった罰は、長期のタイムアウト。

普通の人間になって、岩のてっぺんに火に囲まれて、男性が、起こしに来るまで眠ってなきゃいけない。(眠りの森の美女のノリ)そして、彼女はその男の妻となる。(サイテー。そんな罰、父親がさせる???)

さすがにブリュンヒルデも、どんな奴でも自分を起こせて、弱虫とかにも、起こされちゃったら、その男の妻にならなきゃなんないの???絶対いや!と泣きつき、せめて、勇者にしてください、と懇願。

(ここで、弱虫の男が来たらどーしよってのがね、、、、弱虫だけならまだしも、もっと酷い人可能性もあるのに(;^_^A)

そこで、パパヴォータンは、娘可愛さに、OKして、じゃあ、この🔥を超えて来た勇者がお前を起こして、そしてお前はその勇者の妻になるのだ~!」って歌うと、ジークフリートのモチーフがタターンターンタタタタ―♬って鳴ります(ここでで聴き手は、勇者とは、ジークリンデのお腹にいる未だ生まれていないジークフリートを意味するのお知るんですよー。年齢差は気にしないように)

まあ、そこでマジックファイヤー音楽ってのがあって、ヴォータンがモノローグで娘への愛を語りながら、彼女を眠りにつかせて、火の神を呼んで、火を焚く… おしまい。

命令に従わなかった娘を罰する父。でも娘は、父の本当の意思を汲んだと言うが… ちなみに、これは2019年の録音で、ヴォータンはダブルキャストでした。私は、個人的には、写真のグリムスリーさんより、もう一人のミヒャエル・ヴォレが好きでした。グリムスリーさんの声は、ちょっと、間が伸びる感じの声で好みでないのかも。ブリュンヒルデのゴーケさんは、特に良くもなく、悪くもなく(笑)

全ては“魔法の指輪”欲しさ

感動しそうだけど、どー考えても、この父親、超勝手!

ヴォータンの行動は、全て指輪奪回の為の長期計画なんですよね。

私欲の為に手回し忙しい神様(笑)

ってことは、

結局、ヴォータンは、ジークムントをそれ程愛してはなかったんでしょうね。

自分の傲慢な欲と見得の為のコマ😢

良さそうな父に見えて、全然違う自己中心なエゴイストのお父さんでした。

まあ、

この後、『ジークフリート』、『神々の黄昏』に続き、ヴォータンの孫であるジークフリートの話に続くんだけど。

ということで、こんなお話、父の日ウィークに良いのかな?(笑)

Thorの話と似てる?!

荒筋を呼んでると、ロードオブザリングや、マーベルの映画『Thor ラグナロク』に似てるなーと思うかも。

その通りです(笑)どちらも北欧神話をアレンジしてるので。

北欧神話のオーディンが、オペラではヴォータンのモデルですです。

でもオペラは、神話の色々な箇所を繋げているので(指輪の伝説や、ジークフリート伝説)話がややっこしい。

マーベルの『Thor』のお父さん、オーディン。映画だと、アンソニー・ホプキン演じてました。

因みに、このオペラ、というか、ワーグナーの『ニーンベルグの指輪』は、大人気で、メトロポリタンオペラでの上演されるときは、必ず売り切れになるんです。

有名だったら初心者向き?

長いオペラなので、初級向けではありません。

でもハマると、長い上演時間も、心地よい苦痛(笑)になります。

多いんですよ、特に男性ファンが。

因みに、この写真は数年前のリングサイクルの時に撮ったもの。

このおじさん、私の前に座ってた人。開幕後は兜を脱ぎました。ホッ(笑)

リングサイクル:『ニーベルングの指輪』の4作品、『ラインゴールド』、『ワルキューレ』、『ジークフリート』、『神々の黄昏』を、一気に通して(1週間ぐらいかけて)観るのをアメリカでは、Ring Cycleと呼びます。ドイツでは、チクルスと言われ、日本でもその言い方が主流のよう。

あ、書いてませんが、この演出、最高です。

好き嫌いあるかもですが、私は大好き。

数多くのオペラを手掛け、シルクドソレイユも幾つか担当した天才(奇才?)演出家の、ロベール・ルパージュの作品。

Enjoy!

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