テキサスでオペラ 🤠!?

こんにちは!

オペラを10倍楽しむめる講座An Introduction to The Opera主宰/講師のステッソン陽子です。

前回は、久々のオペラ予習クラス『トスカ』のご案内と共に、テキサス、オースティンで開催される野外オペラの事に、触れました。前回の記事

「へええー。テキサスでもオペラがあるんだー。」

って思われた、あなた!(笑)

私も、コロナ前までは、NYとテキサスの往復生活で、でも、オペラを観るのは、NYだったんですよね。

テキサスっていえば、カウボーイ、ロデオ、アラモ、オイル&ガス、フットボール、BBQ、、、、、って感じで、芸術とはかけ離れた感じかも。

実際私もロデオは見に行きます。その時のBGMはカントリー(-_-;)嗚呼。

しかし!!

テキサスは、州内に、フルオーケストラ&フルプロダクションのできるオペラカンパニーが5つもあるんです。

そして、シンフォニーもバレエ団も複数あり、クラッシック音楽に素晴らしいホールも各都市に。

中でも、ダラスオペラとヒューストンオペラは、世界的なスター、過去にはマリア・カラスからプロシド・ドミンゴ、ミレッラ・フレーニ、現代のトップDivaソンドラ・ラドヴァノフスキーetcなどの大物、を呼ぶことができるパワーハウスなんですね。

『アイーダ』のラダメスを歌うドミンゴ。ヒューストングランドオペラから 1987年 Photo by Jim Caldwell

勿論、Covid-19 禍のテキサスも、オペラカンパニーは、クローズ。

ヴァーチャル活動を意欲的に続けていました。

昨年、TXのオペラカンパニーは、試行錯誤しつつも団結して、以前から念願であったTexas Opera Alliance テキサスオペラアライアンスという同盟を立ち上げ、互いに協力して芸術を育て(コロナを乗り越え)活動を進めています。

これって、このコロナで、移動が出来ず、virtualな世の中なんだけど、だからこそローカルな繋がりが大切と気づいた素晴らしい動きだと思うんですよね。

本同盟の目的の一つに、著名シンガーを在籍シンガーに招待し、学校訪問、ローカルアーティストのマスタークラス、コミュニティへのコンサートなど、各地元にオペラを身近に感じてもらい、次世代にも伝えていく、本当に大切な活動があります。

地域に貢献する地元のオペラカンパニーは、もちろん地域のサポートも自然と起こってくると思うんです。

やっぱり、愛着が湧くし♡ 

これ、ビジネス101ですよねー。見習うべきオペラカンパニー、、、いますねー(笑)

オースティンオペラが先頭を切って、ライブオペラを屋外オペラで開始!

1年以上、停止していたライブオペラ。 4月29日の『トスカ』で解禁です♡

Austin Opera

オースティン、テキサス在住でオースティンまで来れる方は、是非~。チケットこちら

トスカ公演については、前回書きました。(下リンク)

初心者でも『トスカ」を10倍楽しめる予習クラスの詳細はこちら。!!

そして、5月の第1週末には、サンアントニオオペラが、ドニゼッティの傑作『ランメルモールのルチア』を、こちらは屋内で上演します。

主役のルチアにメットオペラやヨーロッパのメジャーハウスで活躍するソプラノのBrenda Rae.

勿論それぞれの会場では、マスク必須、体温チェック、ソーシャルディスタンスの座席とあっても、人の集まる場所には未だ、、、、という方も多いはず。

でも、アーティストやアート団体、そしてそれに関連するビジネスには、嬉しい知らせだと思います。

なんてったって、1年以上停止状態だったのだから。。。。

で、これでテキサス、やるじゃない~と思っていたら、なんと、、、、、、

すべてが停止だと思っていた中、ヒューストンとダラスのシンフォニーは、演奏活動をヴァーチャルとインパーソンのコンサート活動で、昨年秋から始めていたんです!

シンフォニーはコロナ禍でもONなテキサス

勿論、州や、市など、それぞれに地域の規定が異なるので、オープンできない楽団もありますよね。

でも、ダラスと、ヒューストンのシンフォニーは、ソーシャルディスタンスを保ちつつの動員。

経済的に成り立っているのか?その辺がすごく気になります。

最初は150人のキャパでスタートしたそうです。

ヒューストンはオイル・ガスのビジネス、ダラスもメーカーなどの大企業が多く、スポンサーがついているし、個人ドナー(寄付・パトロン)がしっかりしているようですね。

ゲストアーティストも著名アーティストが名前を連ねます。

今年1月、ヒューストンシンフォニーには、五嶋みどりさんも来てたし、、、5月には、バイオリンの王様(笑)、パールマンさんも来るし…

ダラスシンフォニーは、コロナ禍においても、多々の屋外コンサート、カンパニーあげての、トレーニングプログラムなどを提供し、寄付金だけでなく、収入もあったようです。HPでは、市からの協力の事も記してあります。

今週は、Emanuel Ax氏も来るし。

ダラスシンフォニーは指揮者も一流。現在の音楽監督(主席指揮)は、ファビオ・ルイジ氏。

FABIO LUISI MUSIC DIRECTOR LOUISE W. & EDMUND J. KAHN MUSIC DIRECTORSHIP
ファビュラスなマエストロ、ファビオ・ルイジ

ファビオさんの前任は、現在のNYフィルの音楽監督であるJaap van Zweden ヤープ・ヴァン・スヴェーデン氏。

ヤープさんで、黄金期を迎えたダラスシンフォニーは、オペラの指揮者としても素晴らしいルイジさんを迎えて、よりプログラムに幅が広がったようです。

ルイジさんは、現在チューリヒ州立歌劇場の音楽総監督でもあり、次期NHK交響楽団の首席指揮者にも決定しました。

実は、そのルイジさん、NYのメットでもお馴染みなんです。

メットの元大御所の故ジェームス・レヴァインが音楽総監督だった時代に、ルイジさんは、ゲスト首席指揮者から、首席指揮者に昇格。レヴァインの体調不調により、その後数年(いや、それ以上?)のメットオペラのシーズンをルイジさんが引っ張ってきました。

次期メット音楽総監督の地位をほのめかされ、ヨーロッパからNYに家族も移動させたのに、その座はカナダ人のヤニックに渡ってしまい、彼はダラスシンフォニーの音楽監督に就任したんです。

まあ、細かい内情は、内部の人や本人達にしかわからないけれど。。。

ルイジさんは、本当に愛されてるマエストロみたいで、シンガーの友人たちも絶賛しています。

そこで、このルイジさんが、話題になってるんです、、、今米国のクラッシック界で。

以前ブログに書いた、メトロポリタンオペラとオーケストラのコントラクトにまつわる衝突。(過去記事はこちら)

結局、話し合いもできないほど関係は悪化。

去年11月にメット側がオーケストラに、”交渉について話し合う事”を承諾したら、先2か月は週1500ドルのサラリーを払う、とオファー。

昨年4月から無給(保険費はもらっている)のオーケストラは、やっと今年1月にそれを承諾。

そして3月後半から話合いは再開。

でもまだまだケリはつかず、秋のシーズン開幕も不安状態です。

やはりこのネゴシエーションの内容(給料20-30%カット)は、組合は納得できず、その間、メットの評判もがた落ち。

メットの現音楽監督のヤニック君も、最近メットのオフィスに批判の表明を出しました。

「一流のアーティストが、それにになう報酬を得れないなんて、おかしい」って。

でも、オーケストラのメンバーは、なにはともあれ、現場に早く戻って、仲間と音楽を奏でたい、、、ってインタビューに答えてました。

なんやかんや言っても、メットは開いていないから、お金を払いたくても、どうにもできない。

メットオーケストラは、自分たちで、ヴァーチャルコンサートをプロデュースして有名シンガーと数回演奏を試み、お金を集めていますが、、、、、

でも実際に生公演をする機会はなくて、同僚とリアルに音楽を奏で、それに対して賃金をもらうということもできず、、、、

スーパーファビオがレスキューに!

すると!!スーパーファビオ!参上~

メットオーケストラよ!僕が昔のよしみで、助けてあげるよー!

なんと、ファビオ・ルイジ氏が、メットオーケストラメンバーを招待して(全員じゃあなくて50人ぐらい?)、ダラスシンフォニーとジョイントコンサートをしましょう~と。

おまけにそのジョイントコンサートは、メットオーケストラの為のファンドレイジングガラにしましょう!って😿

なんて、素晴らしいマエストロなんでしょう。

そして、そのマエストロに賛同する素晴らしいシンフォニー。

詳しい内容はNYタイムスにて

*テキサス在住の方、チケットは4月16日から発売です。

ダラスシンフォニーHP

Don’t mess with Texas!

2020年の選挙前に、いわゆるRed State(共和党のカラーは赤)と呼ばれるテキサスを、ここに足を踏み入れずして「テキサスなんて、人種差別する(教養のない)人たちか、保守的リパブリカン(共和党)ばかりでしょ。」という声を北東に住む人々(アメリカのNorthEast=いわゆるNYやボストンなど、高学歴でインテリが多いといわれる、そしてリベラルな人も多い)から時々尋ねられました。

私は、18年以上も前に、ダラスに住んでいた時期があります。 そんな前でも、私の出会った人々は、保守的な意見を持ちつつ、リベラルな考えにもオープンマインドって印象もあって、すごく居心地が良かったんですけどね。

最近は、リベラルと言われる大都市から引っ越し組も多く、地域によっては、変化が見られ、今回の選挙では、パープルステート*にもなりつつあります。 (*共和党の赤、と民主党の青が混ざることを紫の州と呼ばれます。)

保守的というと、男性中心で、マッチョなイメージばかりが先行しそうですが、テキサスは、紫になる前から女性の政治家(ガバナー)もいたし、それぞれのパフォーミングアート団体は、女性リーダーが圧倒的多数です。

ダラスシンフォニーは、音楽監督(ファビオ・ルイジ)の次にあたる首席指揮者は女性指揮者が2人で務めています。Dallas Operaも同様。

テキサン(=テキサス人)は、みんなテキサスが大好きで、とっても誇りに思ってるんですよね。

その中には、芸術に重きをおかない人も確かにいます。でもそれは、どこでも同じ。

NYだって、いっぱいいますよー。

芸術なんて…って人達。

実際、娘の小学校で音楽の先生がいなくて、親として戦った過去もあるし😅

でも、テキサスには、芸術は大切で、自分たちの日々を音楽で豊かにしたい、って思う人は本当にたくさんいます。

さて、数々の理由があるにしろ、、、、生コンサート、生オペラは、まだ早いんじゃ?と思う人もいるかもだけれど、、、

オペラやクラッシックのコンサートは、中座は禁止。

観客は上演中は、座ったまま。

ソーシャルディスタンスはOk。

Sing along も無し。叫ぶのは、最後のブラボー!のみ。

私は、単純に嬉しいです^_^

テキサスに居て感謝。

音楽は魂の糧

大指揮者のムーティ様は、「音楽は魂の糧」と言いました。

ヨーロッパで、秋からオペラハウスをオープンし続けているスペインの厚生大臣は、

「文化は人間の基本権利である。」として、

地域政府と芸術団体は、コロナ対策を厳しく管理しつつも、観客動員で、生のパフォーマンスを行っています。

テキサスの政治家はこんなカッコいいこと言ってないけど、とりあえず、

「Don’t mess with Texas!」 でしょ?(笑)

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